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お知らせ

第54回日本慢性疼痛学会報告

2025年2月22-23日に仙台にて第54回日本慢性疼痛学会が開催され,当院から寺田院長,PT河合,白木,金原が参加しました.

PT河合,白木,金原が発表してきました.

PT河合は,「慢性腰痛患者の身体活動量には,痛み自己効力感が強く影響する」という題で発表しました.

私は,慢性的に腰痛がある患者様の身体活動量に影響する因子を報告しました.身体活動量を高めることは,痛みの治療に有効であると示されています.しかし,慢性腰痛の場合は,動きすぎても関節に負荷がかかることや,筋肉に損傷が起こることで,痛みが増悪する場合があります.そのため,身体活動量を調整することが重要です.今回の結果では,身体活動量(息が軽くはずむレベルの強度の運動;ウォーキングやジョギング,階段昇降等)に影響するのは,痛み自己効力感(痛みがあっても動けると思えること),日常生活への障害でした.この二つを改善していくことで,身体活動量が高まることが示されました.今回,対象になった方々の身体活動量の時間が78分/日(WHOの身体活動量ガイドラインでは,20分/日)と長く,痛みの強度や運動恐怖感が高く,日常生活への障害が大きかったため,やはり,身体活動量を調整する,もしくは筋の状態をよりよくする,動いても痛みが出ないような動き方を練習することが重要であると考えています.今後,このような治療が身体活動量を高め,痛みが減り,患者様が幸せだと思えるような生活を送れるよう励んでまいります.

PT白木は,「慢性頚部・上肢痛患者のADLに関連する因子と心理的要因の特徴」について発表しました.

 

ADLとは,日常生活動作のことで,家事動作や仕事,歩行などが含まれます.

慢性的に痛みがある人は,運動に対する恐怖心や自己効力感を無くすことが報告されています.今回の結果では,頚部や肩が痛い人の特徴は運動に対して恐怖心が強い傾向があり,自己効力感は高い結果となりました.特に運動恐怖感はADLに中程度の関係を示しました.

以上の結果より,頚部や肩関節に痛みがあり,日常生活や仕事などで腕を使うことが多い人は,無理に動かそうとせず,痛みが無い範囲を確認し,その範囲内で動かすことがポイントです.

「どこまで動かしていいのか分からない」,「そのような動きがダメなのか知りたい」方は理学療法士に相談してください.

PT金原は「疼痛軽減体験が慢性疼痛患者の自己効力感に及ぼす影響」について発表しました.

今回は,痛みを軽減させる体験を1回の理学療法を1か月行うと痛み自己効力感が高まることを報告しました.痛み自己効力感は,患者様自身が痛みがあっても,動ける,仕事や家事ができると思えることを指しており,非常に重要な概念です.理学療法を受けられている方はご存知かと思いますが,私たちの治療は徒手療法といい,痛みの原因に対して,マッサージやストレッチングを中心に行い,炎症がある部位に対して,寺田院長にブロック療法をしていただく流れになっております.この治療を1か月続けることで,痛み自己効力感が34.7点から42.9点と8点以上向上しました(世界的に,5点向上すると,良くなったと示されています).今後も,継続してデータを測定させていただき,一人一人にあった治療を提供していきたいと思います.

写真は仙台といえば牛タン!!ということで食べに行ってきました.

肉厚でジューシーで美味しかったです.

 

今回も充実した学会となりました.

得た知見を臨床に生かせるよう引き続き研鑽していきます.

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