2024年10月26日、静岡市で開催された第14回疼痛フォーラムに、当院から寺田院長、理学療法士の河合と白木が参加しました。一般演題では、理学療法士の河合が「ペインクリニックにおける慢性疼痛患者の痛み自己効力感の重要性」というテーマで発表を行いました。
発表内容:痛み自己効力感の重要性
慢性疼痛を持つ患者様の治療目標は、日常生活の質(ADL)や生活の質(QOL)を高めることです。単に痛みを和らげるだけでなく、痛みがあっても「動ける」という自信(痛み自己効力感)を持つことが、QOL向上に重要だと考えられます。
例えば、患者様が次のように感じられるようになることを目指します:
– 「痛みがあっても動くことができる」
– 「痛みがあっても家族や友人と普段通り過ごせる」
– 「痛みがあっても自分の役割を果たすことができる」
こうした自己効力感を高めることが、患者様の生活の質を向上させるために不可欠です。これからも治療の成果を論文でまとめ、皆さまにご報告できればと思います。
特別講義:ニコチンと慢性疼痛の関係
今回の特別講義では、中部国際医療センターの飯田宏樹先生による「ニコチンの誘惑 脳報酬系と慢性疼痛の関係」がテーマでした。「喫煙」というと肺への悪影響がよく知られていますが、痛みにも悪影響があることが分かってきました。
喫煙者は、以下のように治療にも影響が出やすいと言われています:
– 非喫煙者と比べて治療効果が出にくい
– 手術後の痛みが長引きやすい
これは、ニコチン摂取によって脳内でドパミンが一時的に増え、痛みが軽減されるためですが、次第に耐性ができて効果が弱まり、さらに多くのニコチンを求める「負のスパイラル」に陥ってしまうのです。
つまり、喫煙は肺だけでなく、痛みの悪化にもつながります。
禁煙で生活の質を高めましょう
禁煙に挑戦すると、痛みが増すなどの離脱症状が現れることもありますが、禁煙を続けることで痛みが軽減し、QOLの向上が見込めます。この機会に禁煙を考え、より健康的な生活習慣を身につけていきましょう。
© 寺田痛みのクリニック. All Rights Reserved.